●難解なメモリOCの仕組みに迫る●
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 PCパーツの中で最も設定項目が豊富なのがメモリモジュール。
クロックや電圧だけでなく、アクセスタイミングの設定も行わないといけないので、
メモリOCでパフォーマンスを引き出すのは上級者でもかなり難しい。

 部分的な設定だけでは、設定をしていないAUTO部分がルーズになってしまうので、
ベンチマークのスコアがほとんど伸びなかったり、逆に下がってしまうことさえあるのだ。
アクセスタイミングをタイトにしたり、メモリクロックを引き上げたのにも関わらず、
スコアが伸び悩む原因の多くはこれにある。

 今回はZ97マザーを使用して、LGA1150系でのメモリOCのテクニックを紹介したいと思う。
ベンチマークにはメモリ設定によるスコア差が最も出やすいSuper PI mod 1.5XS(以下、Super PI)の32Mを使用。
CPUコアとリングバスのクロックは4.5GHz(±3MHz)に固定して検証を行った。

検証環境は以下の通りだ。

【Test setup】 
CPU:INTEL Core i7-4790K(4.0GHz)
CPU Cooling:CORSAIR H110(AIO Water,2×14cm) 
M/B:ASUSTeK MAXIMUS VII GENE(0028 BIOS)
MEM:CORSAIR CML8GX3M2A3000C12R(PC3-24000, 2×4GB)
VGA:RADEON HD5450
SSD:CORSAIR FORCE LS 120GB(Serial ATA 3.0, 120GB) 
PSU:CORSAIR RM1000(80PLUS GOLD, 1000W) 
OS:Windows XP SP3 32bit 

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CORSAIRパーツ提供:株式会社リンクスインターナショナル 様


●どこが速度に影響するのかをテスト●

 最初に、基準である製品定格のDDR3-3000でのタイムを求める。
CML8GX3M2A3000C12Rがサンプル品でXMP情報を持たないため、
製品定格相当のアクセスタイミングを手動入力した。

DDR3-3000 CL12-14-14-36-2T
画像01 XMP

 メモリ定格相当での基準となるSuper PI 32Mのタイムは、6m49.890sを記録。

6m49.890s DDR3-3000 CL12-14-14-36-2T-AUTO
XMP1

 上記タイムを基準に、アクセスタイミングやメモリクロックの設定を行ってスコアメイキングを行う。

 まずはメモリクロックがスコアに及ぼす影響を見てみよう。
BCLKと倍率を調整してメモリクロックをDDR3-3000からDDR3-3071へと引き上げる。
Super PI 32Mのタイムは定格相当よりも1秒速い、6m48.890sを記録。

6m48.890s DDR3-3071 CL12-14-14-36-2T-AUTO
OC 2nd 3rd AUTO

 2ndや3rdのタイミングがAUTO設定のため、
一部がルーズになり思いの外タイムは短縮していない。

 ここで注目したいのが赤枠で囲っているRTL-IOLという設定項目。
RTL-IOLとはRound trip latencyIO latencyをまとめた呼び方である。
詳細はメモリ屋ではないので分からないが、Round tripやInput Outputという言葉が指す通り、
両者ともに命令の送受信にかかるレイテンシだと思われる。

 上のスクリーンショットを見ると定格時に55/56/9/8だった値が、
DDR3-3071時には57/57/10/9まで大きくなっているのが分かる。
この設定項目は値が小さければ小さいほど良いとされていて、1st timingと同じくらい速度に影響がある部分。
値が大きくなる=遅くなる、すなわちメモリクロック向上分のパフォーマンスを引き出せていないという事になる。

 そんなRTL-IOLを設定したのが以下のスクリーンショットだ。

6m47.812s DDR3-3071 CL12-14-14-36-2T RTL/IOL=52/53/5/5
OC 2nd 3rd RTL

 RTL-IOLの値を思い切って57/57/10/9から52/53/5/5まで短縮すると、
Super PI 32Mのタイムも1秒ほど短縮した。
メモリクロックの引き上げや、アクセスタイミングの短縮と同じ位効果があるのが見て取れる。

Super PI 32M メモリOC設定によるタイム変化
32Mグラフ

 グラフを見ると、DDR3-3071時には2nd, 3rd timingの調整よりも、
RTL-IOLを詰めた方がタイムが短縮しているのが分かる。
メモリクロックだけを設定すると、RTL-IOLの値が大きくなりクロック上昇分の高速化を妨げているのだ。
RTL-IOLの値がAUTOのままだと起動するごとに値が変化するので、
システムが不安定になるのを避けるためにも是非とも手動設定を行いたい。


●全力でメモリをOCしたらどれ位速くなる?●

 最後に全てのアクセスタイミングを詰めたらどうなるかを検証してみた。
メモリクロックの設定も行ったのだが、
アクセスタイミングとの兼ね合いで最も速度が出るのがDDR3-3000だったので、
定格クロックのままになっている。

6m40.515s DDR3-3000 CL11-14-13-25-1T RTL/IOL=47/48/4/4
OC fastest

 メモリクロックが製品の定格のままだが、各種アクセスタイミングを大幅に詰めた事によって、
RTL-IOLの値を47/48/4/4まで詰める事ができた。
各種アクセスタイミングとRTL-IOL、メモリクロックのバランスが取れたことによって、
定格時と比べると9秒以上も速くなっている。
全ての項目を手動入力してバランスを取れば、部分的な設定よりも大幅に高速化が可能なのだ。

●まとめ●

【メモリOCの設定手順】
.瓮皀螢ロックを設定
▲▲セスタイミングを設定
RTL-IOLを設定


【RTL-IOLの特徴】
・アクセスタイミングを詰めれば詰める程、RTL-IOLの値を小さく設定できる
・メモリクロックが高くなる程にRTL-IOLの値は大きくなる

 特徴を理解した上で正しい手順で設定を行えば、メモリOCはぐっと簡単になる。
ただ、一部のプロ仕様マザーボードでは、RTL-IOLの設定方法が複雑な場合がある。
次回の記事ではMAXIMUS VII GENEでの実際の設定手順を解説予定だ。

つづく。。。