MEM

メモリOCのテクニック 〜アクセスタイミングについて〜

●Z87/Z97マザーでの各タイミングの解説●

 多くの設定項目から成り立っているので、メモリのアクセスタイミング設定は一見難解に見える。
しかし、特性さえわかってしまえば難しさは半減するはずだ。
まずは、各項目の特性を知る所から始めよう。

 ユーティリティ上の各アクセスタイミングを4つに分けて、2nd/3rdの重要な部分を紫で囲んでみた。
画像の下におおまかな解説を入れたのでチェックしてみよう。

 ASRock TIMING CONFIGURATOR
m5
1st timings
 最も速度に影響のある部分。
CAS# Latency(CL)RAS# to CAS# Delay(tRCD)の2つが速度に直結する部分で、
特に後者のtRCDはメモリクロックの伸びに大きな影響を及ぼす。
tRCDの値を小さくするとメモリクロックは伸びにくくなるが大幅な高速化が見込める。
メモリクロックを伸ばしたい場合は、
RAS# Precharge(tRP)Cycle Time(tRAS)と一緒に値を大きく設定すると効果的。
Command Rate(CR)は速度重視の場合は1、メモリクロックを伸ばしたい場合は2に設定するとよい。

2nd timings
 2ndという名前の通りに、1stの次に速度に影響する部分。
この中でも特に重要なのは、紫で囲んでいる RAS to RAS Delay(tRRD)CAS Write Latency(tWCL)だ。
この2つの値は小さければ小さい程によい。
高速なモジュールであればtRRD=4/tWCL=6まで設定可能で、これが実用域での最小値。
OCしていく過程で意外と足を引っ張りやすいのがWrite Recovery Time(tWR)だ。
ここを余り詰め過ぎないようにするのが、高クロック低レイテンシ化を狙うコツだったりする。
設定がシビアなtWRとは真逆の性格なのがFour Activate Window(tFAW)だ。
詰めてもエラーを起こしにくいので、ガンガン詰めていくのが吉。
高速なモジュールであれば1618まで設定可能。
Refresh Cycle Time(tRFC)は、1st timingのRAS# to CAS# Delay(tRCD)と特性が似ていて、
速度重視なら値を小さくして、メモリクロック重視ならば値を大きくすればよい。

3rd timings
 各々の速度への影響は少ないが、まとめて設定する事で高速化に貢献するのが3rd timingsだ。
特にtRDRDからの9個の設定項目は、まとめて設定しないと逆に不安定になってしまうので注意。
tRDRDはICによっては4に設定できないものがある。
紫で囲んでいる tRDWRtRDWR_drtRDWR_ddの三つは、
3rd timingsの中では最も速度に影響する部分で、小さいほどに高速化が見込める。
一番下のtRDWR_ddを上の2つよりも小さく設定すると大幅に高速化する場合がある。
tREFIと書かれているのは“DRAM Refresh Interval”という設定項目。
こいつが曲者で、アクセスタイミングの中で唯一
大きくする事で高速化するという特性がある。
速さを求める場合は10,000以上に設定するといいだろう。
Super PI 32Mにおいては値を大きく設定する事で、
トータルでは高速化するものの、前半のループが遅くなる傾向があるので、
バランスを取って設定するのがキモ。
ちなみにASUSTeKのユーティリティであるMem Tweak Itでは、
2nd timingsに分類されている。

RTL-IOL
1st timingsと同等に速度に影響する部分。
アクセスタイミング全体のレイテンシを司っているからか、
1st/2nd/3rdを詰めれば詰める程、RTL-IOLの値を小さくする事ができる。
また、メモリクロックとも連動しているので、
メモリクロックが高くなるにつれてRTL-IOLの値も大きくなる。
1st/2nd/3rdの設定が終わった後に設定を行うのがミソ。





※DDR3-1600などの低クロック域では上記の設定値の目安が当てはまらない場合あり。






メモリOCのテクニック 〜Z87/Z97編〜

●難解なメモリOCの仕組みに迫る●
IMG_3675

 PCパーツの中で最も設定項目が豊富なのがメモリモジュール。
クロックや電圧だけでなく、アクセスタイミングの設定も行わないといけないので、
メモリOCでパフォーマンスを引き出すのは上級者でもかなり難しい。

 部分的な設定だけでは、設定をしていないAUTO部分がルーズになってしまうので、
ベンチマークのスコアがほとんど伸びなかったり、逆に下がってしまうことさえあるのだ。
アクセスタイミングをタイトにしたり、メモリクロックを引き上げたのにも関わらず、
スコアが伸び悩む原因の多くはこれにある。

 今回はZ97マザーを使用して、LGA1150系でのメモリOCのテクニックを紹介したいと思う。
ベンチマークにはメモリ設定によるスコア差が最も出やすいSuper PI mod 1.5XS(以下、Super PI)の32Mを使用。
CPUコアとリングバスのクロックは4.5GHz(±3MHz)に固定して検証を行った。

検証環境は以下の通りだ。

【Test setup】 
CPU:INTEL Core i7-4790K(4.0GHz)
CPU Cooling:CORSAIR H110(AIO Water,2×14cm) 
M/B:ASUSTeK MAXIMUS VII GENE(0028 BIOS)
MEM:CORSAIR CML8GX3M2A3000C12R(PC3-24000, 2×4GB)
VGA:RADEON HD5450
SSD:CORSAIR FORCE LS 120GB(Serial ATA 3.0, 120GB) 
PSU:CORSAIR RM1000(80PLUS GOLD, 1000W) 
OS:Windows XP SP3 32bit 

IMG_3681

CORSAIRパーツ提供:株式会社リンクスインターナショナル 様


●どこが速度に影響するのかをテスト●

 最初に、基準である製品定格のDDR3-3000でのタイムを求める。
CML8GX3M2A3000C12Rがサンプル品でXMP情報を持たないため、
製品定格相当のアクセスタイミングを手動入力した。

DDR3-3000 CL12-14-14-36-2T
画像01 XMP

 メモリ定格相当での基準となるSuper PI 32Mのタイムは、6m49.890sを記録。

6m49.890s DDR3-3000 CL12-14-14-36-2T-AUTO
XMP1

 上記タイムを基準に、アクセスタイミングやメモリクロックの設定を行ってスコアメイキングを行う。

 まずはメモリクロックがスコアに及ぼす影響を見てみよう。
BCLKと倍率を調整してメモリクロックをDDR3-3000からDDR3-3071へと引き上げる。
Super PI 32Mのタイムは定格相当よりも1秒速い、6m48.890sを記録。

6m48.890s DDR3-3071 CL12-14-14-36-2T-AUTO
OC 2nd 3rd AUTO

 2ndや3rdのタイミングがAUTO設定のため、
一部がルーズになり思いの外タイムは短縮していない。

 ここで注目したいのが赤枠で囲っているRTL-IOLという設定項目。
RTL-IOLとはRound trip latencyIO latencyをまとめた呼び方である。
詳細はメモリ屋ではないので分からないが、Round tripやInput Outputという言葉が指す通り、
両者ともに命令の送受信にかかるレイテンシだと思われる。

 上のスクリーンショットを見ると定格時に55/56/9/8だった値が、
DDR3-3071時には57/57/10/9まで大きくなっているのが分かる。
この設定項目は値が小さければ小さいほど良いとされていて、1st timingと同じくらい速度に影響がある部分。
値が大きくなる=遅くなる、すなわちメモリクロック向上分のパフォーマンスを引き出せていないという事になる。

 そんなRTL-IOLを設定したのが以下のスクリーンショットだ。

6m47.812s DDR3-3071 CL12-14-14-36-2T RTL/IOL=52/53/5/5
OC 2nd 3rd RTL

 RTL-IOLの値を思い切って57/57/10/9から52/53/5/5まで短縮すると、
Super PI 32Mのタイムも1秒ほど短縮した。
メモリクロックの引き上げや、アクセスタイミングの短縮と同じ位効果があるのが見て取れる。

Super PI 32M メモリOC設定によるタイム変化
32Mグラフ

 グラフを見ると、DDR3-3071時には2nd, 3rd timingの調整よりも、
RTL-IOLを詰めた方がタイムが短縮しているのが分かる。
メモリクロックだけを設定すると、RTL-IOLの値が大きくなりクロック上昇分の高速化を妨げているのだ。
RTL-IOLの値がAUTOのままだと起動するごとに値が変化するので、
システムが不安定になるのを避けるためにも是非とも手動設定を行いたい。


●全力でメモリをOCしたらどれ位速くなる?●

 最後に全てのアクセスタイミングを詰めたらどうなるかを検証してみた。
メモリクロックの設定も行ったのだが、
アクセスタイミングとの兼ね合いで最も速度が出るのがDDR3-3000だったので、
定格クロックのままになっている。

6m40.515s DDR3-3000 CL11-14-13-25-1T RTL/IOL=47/48/4/4
OC fastest

 メモリクロックが製品の定格のままだが、各種アクセスタイミングを大幅に詰めた事によって、
RTL-IOLの値を47/48/4/4まで詰める事ができた。
各種アクセスタイミングとRTL-IOL、メモリクロックのバランスが取れたことによって、
定格時と比べると9秒以上も速くなっている。
全ての項目を手動入力してバランスを取れば、部分的な設定よりも大幅に高速化が可能なのだ。

●まとめ●

【メモリOCの設定手順】
.瓮皀螢ロックを設定
▲▲セスタイミングを設定
RTL-IOLを設定


【RTL-IOLの特徴】
・アクセスタイミングを詰めれば詰める程、RTL-IOLの値を小さく設定できる
・メモリクロックが高くなる程にRTL-IOLの値は大きくなる

 特徴を理解した上で正しい手順で設定を行えば、メモリOCはぐっと簡単になる。
ただ、一部のプロ仕様マザーボードでは、RTL-IOLの設定方法が複雑な場合がある。
次回の記事ではMAXIMUS VII GENEでの実際の設定手順を解説予定だ。

つづく。。。


 

CORSAIR VENGENCE EXTREME DDR3-3000MHz

写真 2013-11-12 23 09 15
表題のメモリですが、リンクスさんのご好意により試させて頂けることに…
サポートに感謝です!

Hynix MFR搭載の片面実装4GBモジュールということで、
やる事はただひとつ…
ということで、サクっと検証してみました。

Dual Channel Air cooling DDR3-3400MHz
MFR3400
M6Iのプロファイルを読み込んで、電圧を空冷用に下げただけの設定ですが、
モノが良いだけあり簡単にブン回ってしまいます。 
Singleにして冷やせればDDR3-4000MHz超えも狙えそうです。
ただ、こればかりはIMCとの相性に大きく左右されるので、
実際に冷やしてみないと分からないでしょうね。


超選別品で数が取れないために、市販の予定がないというのが残念ですが、
コイツのDNAを受け継いだVENGENCE PROは普通に買えるようなので、
そっちに期待したいですね。
CORSAIRで言うとVer5.XXがHynix製ICを搭載している製品になるので、
メモリハイクロック狙いの人は購入の前にパッケージをチェックしてみるといいかもしれません。




 

IMC test with PSC

CPUを限界まで冷やした場合に、メモリを冷やせなくなるという症状が報告されていますが、
その症状はこちらでも確認されています。
マザーによって症状の程度は異なりますが、
CPUにも原因があるような気がします。

空冷でもブン廻るSumsungではメモリを冷やさないためこの症状が軽く、
POTの冷気やメモリソケットからの冷えにさえ気を付ければ問題はありません。
しかし、限界まで冷やしこむPSCやHynix系のチップでは相性が悪いとまともに動作しません。

Hynix系のチップはうちの環境ではマザーを変えてもCBが消えず使い物にならなかったので、
唯一やっていなかった組み合わせを試してみました。

Super PI mod 32M(PSC LN2)
750s_PSC
【set up】
CPU:Core-i7 4770K

CPU Cooling:k|ngp|n Cooling Dragon F1 Dark
CPU Temp= -120℃
M/B:ASRock Z87M OC Formula(BIOS=P1.50)
MEM:G.Skill F3-16000CL7-4GBFLS
MEM Cooling:
k|ngp|n Cooling Tek9-Fat
MEM Temp= -170℃
VGA:Radeon 5450
PSU:Corsair AX1200
Maxmem=600/ERAM2.11/Copywaza


この組み合わせではCBなしでメモリも冷やしこめました。
タイトなタイミングでも完走していましたが、
石の設定同様、安定性重視で10回やって10回通る設定でテストしました。

50GP基準でいくとM6Iよりもタイムが遅かったのですが、
6.6G付近では思ったほどの減速もなく終始安定していました。
CPUクロックの限界付近では更に減速することが予想されるので、
時間が出来たらオイシイところを探っていこうと思います。

しかし、Samsungとたいして変わらない効率…


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